編集者の常識

 

ある日、ヤンケルマンは新聞の三行広告で、

教科書の出版社が編集者を募集しているのを見て、応募した。

ヤンケルマンは社長の部屋に通された。

「我が社では歴史の教科書を作っているけれども、

 あなたの経歴はなかなか立派なものですな」

「ええ、ペンシルベニア大学でアメリカ史を専攻しました。

 私は歴史に情熱を燃やしてきました」

「その後、ブルックリンの高校でアメリカ史を教えていたんですね」

「そうです、優秀な教員として賞状ももらっています」

「おめでとう。あなたを採用しましょう。明日から勤めて下さい」

ヤンケルマンは社長と握手を交わした。

すると、社長の机の後ろの壁にジョージ・ワシントンと

リンカーンの肖像画が掛かっているのが見えた。

ヤンケルマンがお世辞を言った。

「あの二人は素晴らしい顔をしていますね。当社の共同経営者ですか?」

 
 

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