ある男が、弁護士に訊ねた。
「弁護士様、訴訟が始まる前に、裁判官にアヒルの立派な奴を一羽、
名刺を付けて送っておいたらどうでしょう」
「とんでもない。そんなことをしたら贈賄となって、
裁判は絶対にあなたの負けになりますよ」
この裁判は結局、勝訴となったので、男は大喜びで弁護士に言った。
「あの時、先生には反対されましたが、
やっぱり裁判官にアヒルを一羽送っておきました」
弁護士はびっくりして言った。
「しかし、あの謹直で知られた判事さんが、
黙っていたとはどうしても信じられない」
「いやなに、名刺の方は訴訟相手の名前にしておいたんです」
|