モーセ
エルサレムを訪れたキリスト教徒の観光客が、
ユダヤ寺院の礼拝式を見物した後で、ユダヤ人に訊ねた。
「いかにも厳かで結構でしたが、お祈りの時、モーセの名前が出てくる度に、
信徒がブツブツ言っていたのは何故でしょうか?
モーセはユダヤ教の予言者として尊敬されているはずでしょうに」
ユダヤ人は不満そうな顔をして答えた。
「いやいや、あの男の人気は最近地に落ちましてね。奴さんの案内のお陰で、
我々ユダヤ人はオレンジの安い国にはたどり着きましたけれど、
本当は石油の出る国の方が良かったんですよ」
新聞の効用
ナチスの突撃部隊の将校が、列車でユダヤ人と乗り合わせた。
将校はナチスの機関紙を広げて、得々として言った。
「この新聞は非常にためになるので、必読しとるんだ」
彼はついでにユダヤ系の経済新聞を取り出して言った。
「こいつは尻を拭くのにもってこいだ」
これを聞いたユダヤ人は、揉み手をしながら、嬉しそうに言った。
「将校さん、それじゃ、あんたの尻が頭よりも利口になるのは、
もう間近というわけですな」