気遣い
行商人が大きな荷物を背負って街道を歩いているのを見て、
気の毒に思った馬車引きの男が、行商人に声をかけた。
「さあさ、この馬車に乗りなされ」
ペコペコとありがたがって、行商人は車に乗り込んだが、
一向に荷物を肩から降ろそうとしない。
「荷物を降ろしたらどうだね?」
「いやいや、私を乗せているだけでも馬は大変でしょうから、
荷物までは結構です」
後悔
「わしの娘と会社の金を横領してトンズラしおった会計担当の男は、
どうやらだんだん後悔しておるようだ」
「へえ、金でも返してきましたか?」
「いや、金はまだだが、娘の方を先に送り返してきおった」