負けた原因

 

第二次世界大戦が始まろうとする頃、ドイツのある小学校で、

歴史の時間に先生が質問した。

「ヒンリックス、この前の大戦で、ドイツが負けた原因は何だと思うかね?」

「ドイツ軍にユダヤ人の兵士がいたからです。

 臆病者で、前線から逃げたりしたので、ドイツは戦争に敗れたのです」

「よろしい。それじゃハルトビッヒに聞くが、

 その他の原因としては、何が考えられるかね?」

「食糧部にもユダヤ人がいたんです。そいつらが食糧を盗み出したりするので、

 ドイツは負けたんです」

「そうだ、その通りだ。ところで、ローゼンベルク、お前はどう思うかね?」

ユダヤ人のローゼンベルクがおずおずと立ち上がり、小さな声でつぶやいた。

「ええと、それから参謀本部にもユダヤ人がいて・・・」

「こら、何を言うんだ。ドイツ参謀本部にはユダヤ人など一人もおらなかったぞ」

ローゼンベルクは泣きべそをかきながら続けた。

「先生、ドイツ参謀本部じゃありません。

 本当は、フランスの参謀本部にユダヤ人がいたんです。

 だからドイツは負けたんです」

 
 

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