パーティーに招かれて、遅れて着いたモシェが挨拶もせずに、
息せき切って主人のアブラハムに尋ねた。
「ねえ、一体ペンギンってどのくらい背が高いのかな?」
「え、ペンギン?」
「そう、ペンギンだ」
「そうだなあ、南極にいるペンギンで1メートルくらい。
北極にいるペンギンでおそらく80センチくらいじゃないかな」
「ほ、ほんとか?」
「じゃ、ちゃんと百科事典で調べてみるよ」
アブラハムは本棚の方へ立った。
「ペンギン、ペンギンと。あっ、あったぞ。
ペンギン目ペンギン科に属する海鳥で約17種類ある。翼はひれ状になり・・・」
「それよりも早く背の高さを見てくれよ」
「直立した高さは、最小のコビトペンギン、
オーストラリアとニュージーランド産では30センチ。
それから一番背の高い皇帝ペンギンは90センチ以上に達すると書いてある」
「ほ、ほんとか?」
「うん、間違いない」
「ああ」
とモシェは天を仰いだ。
「じゃ、やっぱり、俺がここへ来る途中はねたのは尼さんだったんだ」
|