新しく連隊長になったアブラハムは、
部下の前では威厳を示さなければならないと思っていた。
ある日の午後、連隊長室でマンガの本を読んでいると、ノックの音がした。
彼は慌ててマンガの本を引き出しの中にしまったが、
机の上にまだマンガの本が積んであるのに気がついて、
慌ててそれも引き出しの中にしまった。
それから受話器を取り、耳にあててから大きな声で、
「よし、入れ!」
と怒鳴った。
入って来たのは新兵のダビデである。ダビデは道具箱を下げていた。
「今、軍司令官と電話で重要な話をしているところだ。ところで何の用だね?」
アブラハムは精一杯の威厳を示して、ダビデに聞いた。
「はい、連隊長。
私は副官から連隊長室の電話が壊れていると言われたので、直しに来ました」
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