精神病院に婦人の患者がやって来て、綿々と自分の症状を訴えた。
「先生、最近、まったく眠れないんです。そして、日中、いろいろな幻覚を見ます。
例えば死んだ主人が出て来て、裸になってバナナを食べながら、
夏の暑い日だというのに、前の道路でスケートをしながら、
葬儀の歌を歌ったりするのです。
生前の主人からは、まったく考えられないことのなのです」
その他、自分の飼っている犬が突然紫色に変わったり、
また飼っている金魚が突然空へ飛び出したりといった話を際限なく訴えた。
「はあ、これは相当に重い症状ですなあ」
と医者はうなずいた。
「ところで奥さん、お話を伺う前に初診料を頂くことになっています。50ドルです」
「まさか! 私、それほど狂っていないわ」
女は病院から出て行った。
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