コーエン夫人が町を歩いていると、知り合いに会った。
「こんにちは、コーエン夫人。ところで、お嬢さんはいかがですか?」
「ええ、ありがとう。とっても元気ですわ!それにとっても幸福そうなのよ。
とてもよい旦那様に恵まれて、娘は正午まで寝て、ベッドで朝食を食べ、
それから美容院に行って、しゃれたデパートに買い物に行き、
それからカクテル・パーティーに出かけます。
まるでハリウッドの女優のような生活をしてますのよ」
「それは大変結構ですね。息子さんはいかがですか?」
「それが、坊やだけは運が悪くて、だいたいあの嫁ときたら、チクショウ!
昼過ぎまで寝てやがって、寝床の中で朝食を食い散らかし、
まったく家事もせずに美容院へ飛んで行き、髪をおかしな具合にすると、
今度はデパートを回って無駄遣いをする。
それから家に帰って来て、晩御飯の支度でもするのかと思えば、
全然しないで、そのままカクテル・パーティーへ行き、
まるでふしだらなハリウッド女優のような生活をしている。
息子はなんて可哀想なんでしょう」
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