聞けば気の毒、見れば目の毒
            
通 説

 聞けば聞いたで、事実を知って心を悩ませ、見れば見たでやはり心を悩ませる。聞くもの見るものすべて煩悩の種となり、心の害になるということ。知らずにいればそれですむのだから、かかわり合いのないことは見聞しないにかぎるという意味。気の毒とはかわいそうという意味ではなく、気にとって毒になるということ。「聞くは気の毒、見るは目の毒」ともいう。

  
   
珍解釈

 気の毒とはかわいそうという意味である。ブスな女は様々な場面で、男からひどい仕打ちを受けたり、差別されたり、とかく美人とははなはだ異なった扱いをされるものである。そういう話を聞くと、中にはブスの身の上がいかにも気の毒に思え、心から同情する心優しき男性もいるようだ。しかしそんな男でさえ、いざブスを目の前にすると、やはり男は男、心は偽れぬもので、何とも憂鬱なやり切れない気分になり、早くこの場から逃れたいという衝動に駆られる。後になって、見なければよかったと後悔の念に苛まれるのも事実である。運が悪ければ、その夜、夢の中にまで現れ、一晩中うなされることも。そのままうつ病になってしまう場合もあるから恐ろしい。しょせんブスはブス。哀れな身の上にもそれ相当の理由はある。男である以上、いくら広い心を持っていようと、一目見たが最後、結局は他の男と同じ気分を味わってしまうというたとえ。心優しき男性に対する一種の警告である。

  
   
教訓

 ブスやからいうて世間を恨んだらあきまへん。世間に罪はありまへん。綺麗なもんを好み、汚いもんを避けるんは古今東西、男女共通の性でおます。つまり全部あんたが悪いんどす。それでも恨むんやったら、親を恨みなはれ。どんな顔の子が生まれて来るか、自分達を見たらすぐわかったはずです。どないあがいても遺伝には逆らえまへん。

 
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