Volume18
 
 

 ああ、言葉とはなんと数多く存在し
 その中途半端なことよ。
 今の私の気持ちを完全に伝えるものなど
 唯の一つも見当たらない。

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 人は誰でも立派な言葉を口にする
 あたかも自分がその通り生きているかのように

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 金以外のために、剥き出しになる感情を、大人げないと言い
 金のために、剥き出しになる感情を、仕事熱心だなどと言う。
 世の中、金の力を借りないと、感情すら表にあらわせないとは・・・

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 金に汚い奴ほど、金を無駄に使う。

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 客  「この絵は本当に素晴らしい。これで100ドルは安いね。今まで誰もこの絵
    を買おうとしなかったなんて、一体、他の客はどんな目をしているのかね。」
 画商 「お客さんもそう思いますか。まったく素晴らしい絵ですよねえ。これが無
    名の画家の描いた絵だなんて考えられませんよ。ダ・ビンチもゴッホもピカ
    ソも顔面蒼白ってところですかね。私が評論家なら、ノーベル絵画賞でもあ
    げたいくらいですよ。いやいや、ノーベル賞にそんなものがあればの話です
    けどね。でもねえ、お客さん。今までこの絵を、あなたみたいに、素晴らし
    いから買いたいと言ったお客さんは何人もいたんですよ。ところが値段が
    100ドルだと知ると、いつも決まって買うのをやめてしまうんですよ。不思
    議ですよねえ。こんな素晴らしい絵が、たった100ドルで手に入るというの
    にねえ。いいえ、無名の画家が描いた絵だなんて話をしたのは、あなたが初
    めてですよ。」
 客  「まったくだ。この絵なら1000ドルでも安いくらいだよ。」
 画商 「本当ですよね。でも、例えばこちらの絵ですがね。この絵なんか、私はち
    っともいいとは思わないんですが、不思議と売れるんですよ。別に絵そのも
    のが気に入って買って行くふうには見えないんですが。」
 客  「へえ、そんなもんかね。」
 画商 「実はね、これらは私が描いた絵なんですよ。私も若い頃は画家を目指した
    ことがあってねえ、若気の至りってヤツですか。途中で自分には絵の才能が
    ないと気付いて、画家になるのは諦めてしまったんですが、どうしても絵と
    離れるのが嫌でねえ。それでこんな小さな画廊を開いて、まあ細々とやって
    るってわけなんですよ。自分の画廊だから自分の絵も並べておいていいだろ
    うと思って、昔描いた絵をいくつか並べてあるんですが。自分の絵だから、
    ちょっとぐらい高い値を付けておかないとシャクじゃないですか。それでゴ
    ッホやシャガールと同じくらいの値段を付けてみたんですがね。でも、それ
    がよかったみたいで・・・」
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