Volume40
 
 

 百人の中で一人だけ宝くじが当たるとしたら
 自分はたぶん当たらないだろうと思うくせに
 百人の中で一人だけ処刑されるとしたら
 自分がそうなるのではないかと心配する

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 人を叱る際には気をつけよ。
 叱っているときより、叱った後が重要なのだ。

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 新しいものを生み出すためには
 まず盗み、覚え、そして忘れなければならない。

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 人生とは何だろうか・・・
 五感を通じて脳の中で繰り広げられる
 中断のない一度限りの夢である。

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 昔、僕は森を作る時、木を見て森を見なかった。
 いつも大事なことは、素晴らしい木だけを並べていくことだった。
 一本一本の素晴らしい木を植えていけば、必ず美しい森になると信じていた。
 どの木にも欠点がなければ、必ず完璧な森ができあがると信じていた。
 でも、完璧なはずの森は、一向に僕の思い通りになってくれなかった。
 一本一本の美しさが、むせかえるような悪臭を放っていた。
 一本一本の完全さが、空しい光に終わっていた。
 
 「この木が邪魔だ」
 そう思ったのはいつの頃だったか。
 「この木を取ってしまおう」
 そう決心したのはいつの頃だったか。
 一本の木を取り除くと、そこには安らぎの泉が生まれた。
 「ここには木ではなく、石を置こう」
 この石は、森の中で愉快な空間を与えてくれた。
 「この木は切り株だけにしよう」
 この切り株は、隣の木をさらに美しくみせる助演俳優だとわかった。
 「萎びた木を植えよう」
 いつしか完璧なる木へのこだわりはなくなっていた。
 こうして、森は僕の理想の形から遠ざかっていった。
 でも、この森は次第に興奮の光を放ち始めていた。
 僕が昔、鼻にもかけなかったさまざまな共演者たちが
 森の中で完全なる木に色とりどりのスポットライトを浴びせかけていた。
 
 昔、僕は森を作る時、木を見て森を見なかった。
 でも、今やっと森が見えるようになってきた。
 これからは、森を作る時は森を見ていこう。
 一本一本の完全なる木を追い求めるだけでは足りないのだ。
 素晴らしい森は素晴らしい木だけの集合体ではないのだから。
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